乳歯の叢生ができる原因と放置するリスクを解説
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「子どもの乳歯がガタガタに生えてきた理由や原因を知りたい」
「将来的に永久歯にどう影響するのかを知りたい」
「小児歯科や矯正を始める適切な時期や治療法を知りたい」
お子さんの乳歯の叢生(そうせい)について悩んでいる保護者の方のなかには、上記のような疑問や不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
乳歯が叢生になる原因には、顎の大きさと歯の大きさのアンバランスや、遺伝、指しゃぶりの癖などがあります。この記事では、乳歯が叢生になる原因や放置するリスクを解説しています。
乳歯の叢生の治療を開始する目安や、乳歯の叢生を家庭で予防する方法もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
乳歯の叢生とは?

乳歯の叢生(そうせい)とは、お子さんの乳歯がスペースに収まらず、ガタガタに重なって生えている状態を指します。顎の大きさと歯の大きさの不調和が主な原因です。
乳歯の段階できれいに並びきらないのは、より大きな永久歯が生える場所が足りない前兆の場合もあります。将来の深刻な歯並びトラブルを防ぐためにも、早めに歯科医師へご相談ください。
乳歯が叢生になる原因

乳歯が叢生になる原因は、以下の4つです。
- 歯と顎の大きさがアンバランスである
- 永久歯の生え変わりがうまくいかなかった
- 遺伝である
- 日常の癖や習慣によるものである
1つずつ解説します。
歯と顎の大きさがアンバランスである
歯と顎の大きさがアンバランスであるのは、叢生を引き起こす原因です。現代の子どもたちは食生活の変化から顎が小さく、永久歯より一回り小さい乳歯ですら、きれいに並ぶためのスペースが足りない場合があります。
乳歯が叢生になるのは、限られた場所に歯が収まろうとした結果です。
永久歯の生え変わりがうまくいかなかった
永久歯への生え変わりがスムーズにおこなわれなかった場合も、叢生の原因となります。たとえば、虫歯で乳歯が早く抜けてしまうと、空いたスペースに隣の歯が倒れ込み、永久歯が生える場所を奪います。
その結果、あとに生えてくる永久歯が行き場を失い、叢生になる場合があります。
遺伝である
顎や歯の大きさ・形は遺伝の影響を強く受けるため、ご両親や親族に叢生の方がいるとお子さんもなりやすいです。顔つきや体格が親から子へと受け継がれるのと同じ原理です。
骨格的な要因が強い叢生の場合、セルフケアだけで防ぐのは困難で、将来的に矯正が必要になる可能性もあります。
日常の癖や習慣によるものである
指しゃぶりや舌で歯を押すといった日常の何気ない癖や習慣も、叢生を引き起こしたり悪化させたりする原因です。弱い力であっても、毎日長時間にわたって歯に圧力が加わり続けると、歯は少しずつ動きます。
お子さんの歯並びを守るためには、指しゃぶりや舌癖に早く気づき、改善を促すのが大切です。
乳歯の叢生を放置するリスク

乳歯の叢生を放置するリスクは、以下の4つです。
- 磨き残しによって虫歯・歯周病のリスクが高まる
- 顎関節症やほかの歯に負担がかかる
- 咀嚼が十分にできない
- 見た目にコンプレックスを持つ
それぞれ見ていきましょう。
磨き残しによって虫歯・歯周病のリスクが高まる
歯が重なっている部分は歯ブラシが届きにくいため、磨き残しが増え、虫歯や歯肉炎といった口内トラブルのリスクを高めます。汚れが溜まりやすい場所は細菌の温床になるため、お子さんのデリケートな乳歯を溶かします。
また、乳歯の叢生を放置するのは、永久歯が生える土台となる歯茎の健康を損なうリスクを高めるため、早めに治療をおこないましょう。
顎関節症やほかの歯に負担がかかる
噛み合わせが乱れていると、特定の歯や顎の関節に過剰な負担がかかり、将来的な顎関節症のリスクにつながります。食事のたびに一部の歯だけが強くぶつかるため、歯がすり減ったり、顎の関節に痛みを覚えたりします。
子どものころからの小さな負担の積み重ねが、大人になってからの頭痛や肩こりの原因にもなりかねません。将来的な健康リスクを下げるためにも、乳歯の叢生は放置せず、早期治療を心がけましょう。
咀嚼が十分にできない
食べ物を均等に噛み砕けない咀嚼機能の低下も、叢生を放置するリスクの1つです。上手に噛めないと、胃腸に負担をかけるおそれがあります。
結果、栄養の吸収効率が下がったり、顎の正しい発育が妨げられたりするなど、お子さんの成長全体に影響する場合があります。全身の健康維持のためにも、乳歯の叢生は早めに治療しましょう。
見た目にコンプレックスを持つ
歯並びの乱れがお子さんのコンプレックスとなり、心理的なストレスにつながる場合があります。友人に歯並びをからかわれたり、人前で笑ったりするのに抵抗を覚えたりする可能性も否定できません。
多感な時期に自信を失うと、その後の性格形成に影響を与える場合もあるため、乳歯の段階で叢生を治療するのがおすすめです。
関連記事:叢生を放置するとどうなる?リスクと矯正の必要性を解説
乳歯の叢生を治療するメリット

乳歯の叢生を治療するメリットは、以下の7つです。
- きれいな永久歯が生えるスペースを確保できる
- 虫歯や歯肉炎のリスクを減らせる
- 顎の健やかな成長を促せる
- 受け口や出っ歯などの不正咬合を予防できる
- 発音や咀嚼の機能が向上する
- 見た目のコンプレックスを解消できる
- 将来的な本格矯正の負担を軽減できる
1つずつご紹介します。
きれいな永久歯が生えるスペースを確保できる
乳歯の叢生を治療するメリットは、あとから生えてくる永久歯が正しい位置に並ぶためのスペースを確保できる点です。乳歯の叢生を治療すると、乳歯の段階で顎の成長を適切に促せるため、より大きな永久歯もきれいに収まりやすくなります。
将来、本格的な矯正が不要になる場合もあるため、お子さんの歯並びの土台作りに乳歯の叢生の治療は欠かせません。
虫歯や歯肉炎のリスクを減らせる
乳歯の叢生を治療し、歯が重なっている部分がなくなると、磨き残しが減り、お子さんのデリケートな歯を虫歯や歯肉炎のリスクから守れます。歯ブラシが隅々まで届くようになると、お子さん自身でもきれいに歯を磨けるようになります。
乳歯の叢生を治療して口腔内を清潔に保つのは、健康な永久歯を迎える準備をおこなううえで大切です。
顎の健やかな成長を促せる
乳歯の叢生を治療して、正しい噛み合わせになると、食べ物をしっかり噛む刺激が顎に伝わり、お子さんの顎の成長を促せます。バランスの取れた噛み合わせは、顎の骨や顔周りの筋肉に良い影響を与えます。
乳歯の叢生を早期に治療するのは、将来の顔の骨格のバランスを整えるうえでも重要です。
受け口や出っ歯などの不正咬合を予防できる
乳歯の段階で叢生を整えておくと、将来的に受け口や出っ歯といった、より複雑な不正咬合になるのを予防できます。叢生といった問題を早めに解決しておくと、骨格的な問題に広がるのを防ぐ効果が期待できます。
不正咬合を予防し、発音障害につながるトラブルを未然に防げるのは、乳歯の叢生を治療するメリットの1つです。
関連記事:叢生と出っ歯の治療法とは?各治療法の特徴や費用もご紹介
発音や咀嚼の機能が向上する
乳歯の叢生を治療して、歯並びが整うと舌の動きがスムーズになり、言葉をはっきりと発音したり、食べ物をしっかり噛んだりする機能を向上できます。とくに「サ行」や「タ行」などの発音が明瞭になるほか、きちんと咀嚼できると消化を助ける働きもあります。
乳歯の叢生を治療するのは、コミュニケーション能力や体の発育の面でも、成長期のお子さんには大切な治療です。
見た目のコンプレックスを解消できる
乳歯の叢生を治療して歯並びが改善されるのは、お子さんが自分の笑顔に自信を持ち、見た目のコンプレックスを解消する手助けとなります。歯並びが原因でお友達にからかわれるといった心配も減り、人前で気兼ねなく笑えます。
乳歯の叢生の治療は、多感な時期の心理的なストレスを取り除き、自己肯定感を育むのにも効果的な治療です。
将来的な本格矯正の負担を軽減できる
乳歯の叢生の早期治療は、将来必要になる可能性がある本格的な矯正治療の、期間や費用といった負担を軽減できる場合があります。乳歯の段階で骨格の問題を解決しておくと、永久歯が生えそろったあとの治療だけで済むケースがあります。
お子さんやご家族にとっても、抜歯を避けられたり、治療期間が短くなったりするのは、乳歯の段階で叢生を治療するメリットの1つです。
乳歯の叢生を治療する方法

乳歯の叢生を治療する方法は、以下の5つです。
- 床矯正(しょうきょうせい)
- 筋機能トレーニング
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
- 抜歯
それぞれ見ていきましょう。
床矯正(しょうきょうせい)
床矯正とは、取り外し可能なプレート状の装置を使い、お子さんの顎の成長を利用して歯が並ぶスペースを確保する治療法です。装置の中央にあるネジを少しずつ回すと、顎の骨がゆっくりと広がっていきます。
床矯正は、顎の成長期におこなうと高い効果が期待でき、将来的な抜歯のリスクを減らせるのがメリットです。
筋機能トレーニング
筋機能トレーニングとは、舌で歯を押す癖や口呼吸など、歯並びを乱す根本的な原因となるお口周りの悪い習慣を改善する訓練です。専用の器具を使ったり、簡単なトレーニングをおこなったりして、正しい舌の使い方や飲み込み方を体に覚えさせます。
筋機能トレーニングは、歯並びが自然に整うのを助け、矯正後の後戻りも防ぐ訓練です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、1つひとつの歯に装置を付けて直接動かすため、乳歯の叢生にも対応できる代表的な治療方法です。歯の表面か裏側にブラケットといった装置を付けてワイヤーの力で歯並びを整えていきます。
重度の叢生にも効果があり、確実な改善が期待できますが、装置が目立つ、口内炎ができやすいなどの側面も理解しておきしょう。
ワイヤー矯正は、以下の3種類です。
- 表側矯正
- 裏側矯正
- ハーフリンガル矯正
1つずつご紹介します。
表側矯正
表側矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置とワイヤーを付けて歯を動かす、最もスタンダードな治療法です。表側矯正は、お子さんのさまざまな叢生の症例に幅広く対応可能です。
表側矯正は、ほかの方法に比べて費用を抑えやすいのがメリットですが、装置が外から見えやすいといったデメリットもあります。
裏側矯正
裏側矯正は、歯の裏側に装置を付けるため、外からはほとんど見えず、他人に気づかれずに治療を進められるのが特徴です。裏側矯正は、表側矯正よりも費用が高い傾向にあるため、見た目を重視する方や人前に出るお仕事の方におすすめな治療法です。
ただし、装置が舌に触れるため、慣れるまでは違和感があったり、発音しにくかったりする場合も。
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は、目立ちやすい上の歯を裏側、下の歯を表側に装置を付け、見た目と費用のバランスが取れる治療法です。笑ったときに見えやすい上の歯だけを裏側にすると、矯正中の審美性を保てます。
ハーフリンガル矯正は、すべてを裏側矯正にするよりも費用を抑えられるため、ご家族の経済的な負担を軽減できます。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明で取り外しのできる装置を使い、お子さんの成長に合わせて段階的に歯並びを整えていく治療法です。見た目が自然なうえ、食事や歯磨きの際に外せるため、お子さんの生活への負担が少ないのがメリットです。
ただし、マウスピース矯正は、決められた装着時間を守るといったお子さん自身の協力が重要なため、自己管理能力が必要な治療といえます。
関連記事:重度の叢生はマウスピース型矯正治療で治せる?適切な治療方法を解説
抜歯
抜歯は、どうしても歯を並べるスペースが足りない場合に、将来の永久歯の歯並びを整える目的でおこなわれる処置です。乳歯の段階では顎の成長を促す治療を優先しますが、スペース不足が深刻な場合、永久歯を抜く選択肢が検討される場合があります。
抜歯には、お子さんの将来を見据えた、慎重な判断が求められます。
関連記事:叢生は非抜歯で治せる?歯を抜かずに済むケースと注意点を解説
乳歯の叢生の治療を開始する目安

乳歯の叢生の治療を開始する時期は、永久歯が生え始める6〜7歳ごろが目安です。顎の成長を利用しながらスペースを確保できるため、効果的な治療が期待できます。
ただし、指しゃぶりや舌癖などが歯並びに影響している場合は、より早期の対応が推奨されます。自己判断せず、定期検診で歯科医師に乳歯の叢生を治療するタイミングを相談するのが安心です。
乳歯の叢生を予防する方法

乳歯の叢生を予防する方法は、以下の6つです。
- 噛みごたえのある食事で顎の成長を促す
- 指しゃぶりや爪噛みなどの癖を改善する
- 鼻呼吸を意識させる
- 正しい舌の位置と飲み込み方を教える
- 頬杖やうつ伏せ寝など顎に負担のかかる姿勢に注意する
- 定期検診でプロのチェックと指導を受ける
それぞれ解説します。
噛みごたえのある食事で顎の成長を促す
日々の食事によく噛むメニューを取り入れ、顎の骨の健全な発達を促すのが、叢生予防に効果的です。柔らかい食べ物ばかりでなく、野菜スティックやリンゴなどを丸かじりすると、噛む力が顎を自然に発達させます。
噛みごたえのある食事で顎がしっかり成長すると、将来生えてくる永久歯のスペースも確保しやすくなります。
指しゃぶりや爪噛みなどの癖を改善する
指しゃぶりや爪噛みといったお口周りの癖は、歯並びに影響するため、早期に改善してあげるのが大切です。4歳を過ぎても指しゃぶりが続くと、出っ歯や開咬(かいこう)の原因になりかねません。
叱るのではなく、お子さんの気持ちに寄り添いながら、根気よくやめられるように見守ってあげましょう。
鼻呼吸を意識させる
お口がポカンと開いている口呼吸の習慣は、歯並びを乱す一因となるため、意識的に鼻呼吸を促すのが重要です。口呼吸が続くと、舌の位置が下がり、顎の正常な発育が妨げられます。
唇を閉じるよう声かけをしたり、鼻炎などがないか耳鼻科で相談したりと、お子さんをサポートしてあげるのが望ましいです。
正しい舌の位置と飲み込み方を教える
正しい舌の位置を覚えさせると、内側から歯並びを支え、きれいなアーチを育てるのに役立ちます。舌の先端が上顎の天井部分にあり、全体が上顎に吸い付いているのが理想的な状態です。
食事の飲み込み方も含め、お口周りの筋肉が正しく使われるよう意識させてあげるのが大切です。
頬杖やうつ伏せ寝など顎に負担のかかる姿勢に注意する
頬杖やうつ伏せ寝など、片側の顎にだけ継続的に力がかかる姿勢は、歯並びのバランスを崩す原因となるため注意が必要です。いつも同じ方向から力が加わると、顎の骨に歪みが生じる場合があります。
テレビを見ているときや寝ているときなど、お子さんの様子を観察し、気づいたときには優しく声かけをおこないましょう。
定期検診でプロのチェックと指導を受ける
ご家庭でのケアとあわせ、歯科医院での定期検診でお口の状態をプロに確認してもらうのも効果的な予防法です。保護者の方では気づきにくい小さな変化や、癖の改善に関する専門的なアドバイスを発見してもらえます。
お子さんのお口の健康を守るためには、歯科医師と二人三脚で予防を進めていくのが理想的です。
まとめ
乳歯の叢生は顎の成長や歯の大きさ、習癖などが原因で起こり、放置すると永久歯の歯並びや噛み合わせに影響するリスクがあります。家庭での噛む習慣、指しゃぶりや舌癖の改善、鼻呼吸の促進なども予防に有効です。
治療法には床矯正やワイヤー矯正、マウスピース矯正、筋機能トレーニングなど複数の方法があり、症例や年齢に応じて選択可能です。ご家庭でのケアはもちろん、定期検診で乳歯の叢生を早期発見・治療し、健康な永久歯の歯並びを実現しましょう。
当院は、小さなお子様から学生、サラリーマン、さらにはご年配の方まで、ご家族で安心して通える歯科医院です。予防歯科から小児歯科、審美的治療から矯正歯科まで、幅広い年代とニーズに対応いたします。乳歯の叢生でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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コラム監修者
- はぴねす歯科・矯正歯科 南千里駅前クリニック 総院長 野澤 修一
- 福岡歯科大学を卒業後、福岡県・大阪府・兵庫県の歯科医院にて14年間勤務。その後、2014年9月に「はぴねす歯科石橋駅前クリニック(大阪府池田市)」、2018年6月に「緑地公園駅前クリニック(大阪府府中市)」、2020年7月に「川西能勢口駅前クリニック(兵庫県川西市)」、2022年11月に「尼崎駅前クリニック(兵庫県尼崎市)」を開院。現在は医療法人はぴねすの理事長として4医院を運営。